2005年09月27日(火)
野口江里子『diary 野口江里子の日記 1983-1985』
書店に立ち寄ったところ,『容疑者 室井慎次』に関連した書籍として置いてあったのを購入.表紙がなんとも強烈だしね.
講談社 (2005/09/17)
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若干ネタバレ的な話も入ってしまうかもしれないので,この先を読む人は注意.
この本は,『容疑者 室井慎次』の劇中に登場した日記を書籍化したもの.なんでも公式ブログがあったとか?チェック不足でした.
室井慎次の学生時代を,彼に惹かれていく同年代の女性の視点から描いたもの.あくまでも日記なので文章は極めて普通,というか稚拙.このブログといい勝負かな(笑).
長年慣れ親しんだ室井慎次というキャラクターをイメージしながら読むと面白かったです.なんせ,室井以外のキャラクターは,誰もわからないんですから.室井をイメージせずして,この作品の意味は何もない.室井ならどういう行動をするんだろうな,ということを期待しながら読み進めると,やっぱり,とにやけるところと,そんな一面が,と驚くところが,ほどよく織り込まれていてよかったです.まるで,友達の恋人の内面を垣間見たような気分になれました.にやけまくり.
あと,恋する女性が日々どのように考えているのか,その一例として読んでも面白かったです.自分はすっかり女性の気持ちがわからない人間になってしまったが,虚構とは言え,女性の内面を日々の言葉で綴ったこの日記は,心が洗われる気分になりました.恋っていいもんですねぇ.
Amazonの書評では,『踊る』シリーズに後付けされた,この室井に関する先史に対する批判も見受けられました.テレビシリーズでの室井のキャラクターと整合性がとれない,みたいな意見も.なるほど,そういう意見もあるのかぁ.ただ,個人的には,この日記を読んで,もう一度テレビシリーズから現在に至るまでの室井を見直すと,違った見方も出てくるんじゃないかな,とも思います.自分は肯定派です.
まぁ,普通の本としては評価できない本ですけど,『容疑者 室井慎次』を見た人で,日記に興味を持った人なら,読んでみてもよいかと思います.賛否は分かれると思いますが.