2007年04月16日(月)

村松秀 – 論文捏造

書籍に関するりばにしの記事

ノーベル賞確実とまで噂された研究内容が捏造だった大事件に関して, NHK が作成した番組を本に起こしたもの.

研究室のボスからこの本の感想を聞かされて,興味を持っていたところに,幸運にも基盤情報学の COE 報告会イベントにおいて,番組のディレクタでありこの本の著者でもある村松秀さんの招待講演が企画されたので,参加してみた.

講演内容は非常に興味深く,また村松さんのプレゼンがとても人を惹き付けるものだったので,すっかりその世界に引き込まれてしまい,次の日には本を購入していた.ちょうど毎日の電車に乗る時間が長くなったところだったので,行き帰りに読み進めて,今週読破した.

内容は講演とほぼ同じなので非常に入りやすかったとは言え,時間の制約がない分さらに綿密に書き込まれている感じで,読み進めるうちにいっそう引き込まれていった.プレゼンの印象が非常に強かったのもあり,プレゼンの勢いそのままに話が展開されていく感じ.内容とは関係なく,そういう意味でもとてもいい経験だった.

で,内容.恥ずかしながら,この本でメインに取り上げている論文捏造事件について,本の紹介や招待講演まで全く知らなかった.しかし,分野が違うとは言え,(プチ)研究者として,少なからず考えさせられることがあった.

特に,何故彼が捏造し,そして捏造し続けたのかという背景について,できるだけ客観的な事実に基づいてはいるが,本人がコメントを拒否しており,まだ闇の部分も多い.原因は,彼自身の資質によるものもあるかもしれないし,また彼を取り巻く環境によるものもあるかもしれない.事実と各自の真実とからの推測にならざるを得ないが,身の回りに当てはめて考えてみる必要があると思う.

論文捏造
論文捏造

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村松 秀
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研究のあり方について,また研究室のあり方について,考えるいい機会になった.

2007年04月16日23時42分 | Permalink | 2 Comments | このエントリーを含むはてなブックマーク