2007年09月25日(火)

浜村弘一 – ゲームばっかりしてなさい。-12歳の息子を育ててくれたゲームたち-

ゲーム,書籍に関するりばにしの記事

先の本に引き続き,同時期にリリースされた浜村弘一さんの本をもう一冊読んでみました.

タイトルはちょっと過激だが,「ゲームばっかりしてないで〜」というどこの家庭でもよく飛び交ってそうな親の台詞をもじったていて,なかなかうまいと思います.

ゲーム雑誌の元編集長という立場から,子どもにゲームをさせるように煽るのは当然だろ,というのはちょっと穿った見方.

浜村さんがおっしゃりたいのは,ゲームも映画や漫画などのエンターテインメントメディアと同じで,子どもに与えて良い作品と悪い作品が存在するはずだから,「ゲームをやらせておけば大丈夫」と何も考えずに子どもにゲームを与えるのではなく,ちゃんと良い作品を選んであげなさい,ということだと思います.もっと広く捉えると,エンターテインメントに限らず,子どもに与えるものには気を配れ,あるいは他のものに気を配っているのと同様に,子どもに与えるゲームにも気を配れ,と言いたいのかもしれません.

そう考えると,この本で述べようとしていることと比べて,浜村さんの関わっていらっしゃる(であろう)ファミ通のアプローチはちょっと物足りないかな,と.最近では大人向けのゲーム紹介雑誌「オトナファミ」を作っていますが,それと同様に,子育てに向いているゲームを紹介する雑誌を作るべきなのではないかと.どのゲームが良くてどのゲームが悪いか,浜村さんのようにゲームに精通している方なら選択ができると思いますが,一般の人には非常に難しいと思います.だからこそ,ゲームに詳しくて,子どもに与える影響について考えていらっしゃる,浜村さんのような方こそ,そういう情報を提供する雑誌を作るべきだと思います.

この本には,浜村さんなりに良い作品を選んで子どもに与えてきたことで,子どもがどのように成長してきたのか,微笑ましいエピソードがいくつもちりばめられています.この本は,ゲームを選ぶことに関しては(かなりの)プロが,子どもにゲームの英才教育をした事例ですので,極端にうまくいっている例だとも思います.ただ,極端ではありますが,子どもに与えるゲームを意識して選択することで,プラスに作用することもあるのだ,ということは伝わるのではないかと思います.この本は,極端な例であり,しかも唯一の例でしかないわけですから,決して鵜呑みにせず,かといって全部を否定せず,子育てする際の一つの参考事例として読んでみるといいのかもしれません.って,僕はしばらく子育ての予定はないですが.

ゲームばっかりしてなさい。-12歳の息子を育ててくれたゲームたち-
浜村 弘一
エンターブレイン (2007/09/20)
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ふと,子育て向けという要素を考えたときに,優れた古いゲームをいつまでもプレイできるように提供することは重要なんだな,と思いました.そういう観点から Wii で提供されているバーチャルコンソール(昔のソフトをダウンロードして遊べるシステム)などは,非常に有効だな,と.

2007年09月25日12時36分 | Permalink
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